昔の日本人は、“紅葉”という言葉を使っていなかった

紅葉という言葉の起源と変遷

日本では、秋になると多くの人々が紅葉を楽しむために、山や公園に出かけます。紅葉の美しさは、日本の文化に欠かせない要素の一つであり、多くの人々の心を捉えています。しかし、意外なことに、日本人が紅葉という言葉を使い始めたのは、比較的新しい時代からです。

もともと、紅葉という言葉は、日本にも古くからあったわけですが、紅葉というのは、落葉樹の葉っぱが紅く色づく現象を指す言葉であり、それ以外にも、花や果物の赤い色を表す場合もあります。つまり、”秋の紅葉”というイメージは、あくまで、比喩的な表現から生まれたものと言えます。

江戸時代の道程の調査書には、“黄葉”という言葉が使われていた

かつて、紅葉という言葉は、もっぱら花や果物の赤い色を表す場合に使用されていました。実際、『古事記』や『日本書紀』にも、紅葉という言葉が登場しますが、これらの記録では、落葉樹の葉が紅くなったことを表す言葉として使用されていませんでした。

江戸時代になると、旅行や山の登山などが広がり、多くの人々が風景や自然に興味を持つようになりました。そうした中で、風景や自然の美しさを表現するために、新しい言葉が必要になったのです。

江戸時代には、多くの旅人が道案内をする道程の調査書が作成されており、これらの調査書には、紅葉という言葉が登場します。しかし、当時使用されていたのは、“黄葉(こうよう)”という言葉であり、赤や橙など、多様な色合いをもつ紅葉を、一括りに黄色い葉として表現していました。

現代では、“紅葉”という言葉が一般的になった

明治時代になると、薩長土肥など各地から多くの人々が東京に移り住むようになり、各地の文化や言葉が大都市に集積することになりました。そうした中で、”秋の紅葉”という実際の風景から生まれたイメージが、東京で一般的な言葉として広まっていったのです。

現代の日本では、紅葉という言葉が、落葉樹の葉が秋に紅く色づく場面を指す言葉として、完全に定着しています。多くの人々が、秋に紅葉を楽しむために、山や公園に出かけますが、そこに行く前に、「秋の紅葉」という言葉で、心が踊る人も多いのではないでしょうか。

参照サイト:古代から最近まで 紅葉という言葉


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